本プログラムは平成28年3月31日をもって終了いたしました

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基礎知識

基礎知識6 エピゲノム

私たちの体は、受精卵という1個の細胞が分裂を繰り返すうちに、皮膚、骨などをつくる様々な細胞へと分化して、できあがっていきます。どの細胞も、受精卵と同じゲノム(基礎知識7「ゲノム解析」参照)をもっていますが、細胞によってどの遺伝子を使うかが異なるため、形や性質が違ってくるのです。細胞には、遺伝子の使い方を決めるいくつものしくみが備わっており、これを「エピゲノム」と呼びます。細胞が置かれた環境に応じてエピゲノムが働き、遺伝子のスイッチが入ったり、切れたりするのです。

エピゲノムのしくみの1つは、DNAのメチル化です。4種類の塩基のうち、シトシンがメチル化されます。遺伝子の転写を制御している部分(プロモーター)がメチル化されると、その遺伝子はオフになることが知られています。

DNAメチル化・ヒストンメチル化

もう1つは、ヒストン修飾です。DNAは、ほぼ一定の間隔でヒストンという円盤状のタンパク質に巻き付いて「ヌクレオソーム」という構造をつくっています。ヒストンの末端部分にあるリシンはメチル化やアセチル化を受け、これが、近くにある遺伝子のオン/オフを決める働きをします。メチル化の場合、どの位置のリシンがメチル化されるかによって、遺伝子はオンになったりオフになったりします。アセチル化を受けると、遺伝子はオンになります。これらのほかにも、ヒストンはリン酸化など、様々な修飾を受け、それによって近くの遺伝子の使われ方が決まります。

また、非翻訳RNA(用語集参照)の中にも、遺伝子のオン/オフに関わるものがあります。さらに、クロマチン(ヌクレオソームがぎっしり集まってできるヒモ状の構造)の構築因子も、遺伝子の使われ方を決める働きをします。

こうしたエピゲノムは通常、厳密に制御されています。しかし、加齢や環境物質により、エピゲノムに異常が起こることがあり、エピゲノム異常が積み重なると、細胞ががん化すると考えられています。実際にがん細胞を調べてみると、ほとんどすべてのがん細胞からエピゲノム異常が検出されます。

このため、エピゲノムの異常は、がんの診断マーカーや、治療の標的になると考えられるようになり、本プログラムでもそのような視点で研究を進めています。