本プログラムは平成28年3月31日をもって終了いたしました

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基礎知識

基礎知識7 ゲノム解析

ゲノムとは、細胞の中のDNAがもつすべての遺伝情報です。DNAのすべての塩基配列(遺伝子の部分も、それ以外の部分も含めて)ということもできます。ゲノム解析とは、この情報を様々な視点から解析することです。

ゲノム解析では、DNAの塩基配列を読み取ることが出発点となります。2003年に、ヒトゲノムの30億塩基対の配列が、国際プロジェクトにより解読されました。このときは、ヒトゲノムをランダムに断片化し、その断片を大腸菌に入れて増やしてから、シーケンサーという自動化機械で塩基配列を読み取りました。読み取り方法は、DNA複製反応で塩基が次々に取り込まれることを利用し、A、T、G、Cを異なる色の蛍光色素で見分けるものでした。こうして読み取られたDNA断片の塩基配列を比べて、どこが重なるかを調べ、パズルのようにつなぎ合わせてゲノム全体の塩基配列を決定したのです。このプロジェクトには、日本を含め世界各国の多くの研究者が参加し、長い年月を要しました。

しかし、2000年代の後半になって、新たなしくみのシーケンサーが次々に登場しました。塩基配列の読み取り速度は一気に向上し、現在では、ヒトゲノムの塩基配列を数日で読み取れるほどになっています。これらのシーケンサーを「次世代シーケンサー」と呼んでいます。

塩基配列決定方法

次世代シーケンサーには様々な機種がありますが、おもな機種はどれも、断片化したDNAをそのまま装置に導入します。ビーズやガラス基板上にDNAの断片を固定し、その状態でPCR(ポリメラーゼという酵素を用いた増幅反応)を用いて増幅します。そして、そのまま塩基配列の読み取りに進み、多数のDNA断片の塩基配列を一度に読み取るのです。読み取りには、ヒトゲノム解読時のシーケンサーと同様にDNA複製反応を利用しますが、機種ごとにA、T、G、Cの判別方法に工夫が凝らされており、高速での読み取りが可能となっています。

さらに、最近では、第三世代(次世代の次)のシーケンサーも登場しつつあります。これらは、塩基配列の読み取り方法をさらに工夫することで、DNA断片を増幅せずにそのまま読み取ることが可能になっています。これにより、たった1分子のDNAからでも塩基配列を読み取る道が開かれようとしています。

次世代シーケンサーの活用により、多数のゲノムを解読することが可能になりました。本プログラムでも、次世代シーケンサーを支援基盤に整備して、研究・開発に役立てています。例えば、ある薬が効く患者さんと効かない患者さんのゲノムの塩基配列を読み取り、ゲノムのどこに違いがあるのかを調べるといった研究を進めています。違いがわかれば、それをマーカーとして用いたり、新たな標的として薬の開発につなげることができます。

ただし、次世代シーケンサーでは膨大なデータが得られるので、その解析は容易ではありません。このため、本プログラムでは、バイオインフォマティクス(用語集参照)の専門家の支援により、効率的なデータ解析を行える体制を整えています。

また、次世代シーケンサーの計測対象はゲノムだけではありません。ゲノムのうち遺伝子の部分だけ(これをエキソームといいます)の塩基配列を調べたり、DNAのメチル化部位(基礎知識6「エピゲノム」参照)を調べたりすることもできます。また、サンプルに含まれるmRNAの量を調べることも可能です。これにより、ある遺伝子がどれだけ転写されているか(働いているか)を知ることができます。さらに、DNAと特定のタンパク質との結合を調べることもできます。本プログラムでも、次世代シーケンサーの様々な機能を活用しています。