本プログラムは平成28年3月31日をもって終了いたしました

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基礎知識

基礎知識8 多施設共同研究

薬の開発の最終段階では、その薬が患者さんにほんとうに効くかどうかを調べる臨床試験を行います(基礎知識3「新しい薬ができるまで」参照)。同じ病気の患者さんを2つのグループに分け、一方には新薬、もう一方には従来の薬(または偽薬)を投与して、患者さんの状態を比べます。現在使われている抗がん剤はどれも、このような臨床試験を経て製造承認を受けたものです。

新薬の開発だけでなく、がんのより有効な治療法を開発するためにも、同様の臨床研究が行われます。抗がん剤には多くの種類があり、それらの組み合わせや投与の仕方により、治療成績が変わる可能性があります。そこで、どの薬をどのように投与するのがよいのかを、臨床研究で評価するのです。現在の医療は、がんに限らず「科学的根拠に基づく医療(EBM:evidence-based medicine)」へと変貌しつつあり、このような臨床研究の結果に基づいて標準的な治療法を決める場合がほとんどです。このため、がん治療においても、数多くの臨床研究が行われています。

こうした臨床試験・臨床研究を行うには、がんの中でも同じ種類のがんをもつ大勢の患者さんに協力していただかなければなりません。しかし、1つの病院では、同じがんの患者さんの数は限られているため、多くの病院が協力して研究する体制が必要となります。我が国のがん治療の分野では、白血病、婦人科がん、肺がんなどについて、こうした臨床試験・臨床研究を行うための多施設共同研究組織(臨床腫瘍ネットワーク)がいくつも設立されています。

こうした組織では、国のガイドラインに基づき、患者さんのプライバシー確保と倫理的配慮に十分考慮してプロトコール(実施計画書)を作成した上、組織に参加している各病院で患者さんに研究への協力をお願いして臨床データやサンプル(血液や組織など)を集めています。

本プログラムには、がん分野の主要な多施設共同研究組織が参加しています。これらの組織でこれまでに蓄積されてきた貴重な臨床データを適切に使わせていただくとともに、サンプルのゲノムを解析させていただくことを計画しています。これにより、同じ薬でも、効く患者さんと効かない患者さんがいるのはなぜかが、遺伝子レベルでわかってくるものと期待されます。このような研究の成果は、患者さんの遺伝子のタイプによる薬の使い分けに役立つことはもちろん、新たな分子標的の探索にもつながる可能性があります。