本プログラムは平成28年3月31日をもって終了いたしました

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基礎知識

基礎知識9 プロテオーム解析

ある細胞や組織の中に含まれるタンパク質全体のことを、「プロテオーム」と呼びます。この言葉は、プロテイン(タンパク質)と、オーム(全体であることを示す接尾語)が合わさったもので、遺伝情報全体をさす「ゲノム」という言葉に対応しています。ある細胞や組織の中に、どんなタンパク質がどれだけ存在するかを網羅的に調べるのがプロテオーム解析です。

ゲノムのもつ遺伝情報はタンパク質に翻訳され、そのタンパク質が細胞や組織の中で働くので、プロテオーム解析は生命現象の解明に大いに役立ちます。がんの分野では、がんの発生・進展に関わるタンパク質や、早期発見や薬剤感受性予測に有用なマーカータンパク質を探索するのに貢献すると期待されており、本プログラムでもプロテオーム解析を進めています。

タンパク質も、基本的にはDNAと同様に1本の長いひものような分子で、多くのアミノ酸がつながったものです。しかし、DNAと違って増幅は難しく、アミノ酸を1個ずつ切り出して配列を調べるのもかなり大変です。そこで、タンパク質の同定(取り出したタンパク質が何というタンパク質なのかを明らかにすること)には、質量分析法(MS法)という方法が使われます。これは、タンパク質をあらかじめ酵素でいくつかのペプチドに切断しておき、このペプチドをイオン化して、質量と電荷の比からイオンの質量を求めるという方法です。

酵素は、タンパク質のアミノ酸配列のうち決まった場所を切るので、どのタンパク質からどんなペプチド群ができるかは決まっています。そのペプチドの1つ1つの質量もわかっています。これらの情報はデータベースになっているので、あるタンパク質からどんな質量をもったペプチドが出てくるかを質量分析法で調べれば、もとのタンパク質が何だったのかがわかるのです。

ただし、細胞や組織から取り出したタンパク質は、様々なタンパク質の混合物ですから、質量分析法で分析する前に、分けておく必要があります。そのためによく使われるのが、ゲルを用いた2次元電気泳動です。これは、タンパク質の大きさを一方の軸、酸性か塩基性かをもう一方の軸として、2回電気泳動を行い、タンパク質を分離する方法です。分かれたタンパク質をゲルごと切り出し、ゲルに酵素を加えてタンパク質を切断してから質量分析を行います。

近年では、分析技術の進歩と、バイオインフォマティクスの進歩により、タンパク質を分けずに、混合物のまま同定することも可能になっています。この場合は、タンパク質の混合物に酵素を作用させてペプチドの混合物を得、ペプチドの混合物を液体クロマトグラフィー(LC)という方法でおおざっぱに分けてから、次々に質量分析にかけていきます。得られたデータを解析することにより、もとの混合物にどんなタンパク質が入っていたのかを明らかにすることができます。微量の試料でも分析できることから、がんの研究にも適した方法です。

LC-MS法によるプロテオーム解析